専門家は「防災と減災の違い」をはっきりさせることから始めよ。
9月26日の中日新聞朝刊「備える3.11から」で、マスコミの防災報道に関するアンケートの結果が紹介されている。29日に名古屋市で、全国のマスメディアが震災報道のあり方などを話し合う「マスコミ倫理懇談会」が開かれるそうで、開催に合わせて、中日新聞が、中部9県の市民100人と防災担当を対象に実施した結果だ。
内容は、だいたいどこでも言われるような内容で、どうってことはないのだが、「地域のつながりの作り方(町内会活動)」や「行政の限界と自助・共助の有効性」などという、情けない要望も回答としてあがっている。
今頃こんなことを言っているようでは、「自分の命は自分で守る。自分たちの町は自分たちで守る」は、掛け声だけで実行を伴わない「お題目」になっていることが容易に想像できる。台風15号で100万人に避難勧告を乱発しただけある。東海豪雨から対策はほとんど進んでいないから、言い訳として避難勧告を出しておいた的な役所も、こういうレベルの回答をする市民もどっこいどっこい。中京都や副首都なんて絶対無理。大風呂敷広げる前にやるべきことをコツコツやらないと。名古屋以外の愛知県民を政治のネタに巻き込むのはやめていただきたい。
ここまでは前置き。この記事で言いたいことは表題にあるとおり、「防災・減災」という奇妙な表現。新聞屋の質問に専門家が答えて曰く、
Q:市民にわかりやすく情報を伝えるために必要なことは。
A:防災・減災報道に携わる記者は基本的な知識を身につけるべきだ。野球の取材をしようと思えば最低限のルールは覚えるでしょう?防災・減災の取材もそれと同じことが言える。
新聞屋に注文をつける前に、専門家自身がわかりやすい説明をして下さい。
防災と減災の違いは何ですか。
やってることにどんな差があるのでしょう?
ハード対策が防災でソフト対策が減災なんて嘘ですよね。
気を引くために目新しい言葉に言い換えただけですよね。
これまでの施策の駄目っぷりをごまかすために市民を撹乱してるだけですよね。
「被害はゼロにできないが減らすことはできる」なんて専門家や行政の言い訳ですよね。被害ゼロを目指すのが防災で、被害を減らすことが減災だなんて、言い訳にしてもお粗末過ぎますよ。目標レベルを下げたことを宣言してるだけです。
被害ゼロが無理なんてことは百も承知の上で、市民は被害ゼロを目指して「防災」をやってきました。それはこれからも変わりません。「減災」などという奇妙な言葉を作らなければならない理由がわかりません。
中央防災会議、○○県防災局、○○市防災課、○○自主防災会、防災基本計画、○○地域防災計画、京都大学防災研究所、神戸学院大学防災・社会貢献ユニット、舞子高校環境防災科、富士常葉大学環境防災学部、人と防災未来センター、静岡県地震防災センター、名古屋市港防災センター、防災行政無線、防災器具庫、防災訓練、防災まちづくり、防災まち歩き、防災マップ、防災リーダー、防災ボランティア…、知ってるだけでもこんなにたくさん、みな「防災」を名のっているのに、やるのは「減災」ですか?
違いのわかる男はどれくらいいるのでしょうか。新聞屋もわからないから「防災・減災」などと一緒くたにしているのではないですか。明確な使い分けをしないなら、今までどおり全部「防災」でいいじゃないですか。
どうか、サルでもわかる説明をお願いします。わたしゃ、未だに理解できません。