広域連携のモチベーション

 9月5日の記事「秋の旅行はぜひ東北へ-9月4日の中日新聞サンデー版から」で、観光のお勧めをしたが、別の観点でも考えてみたい。「ものは考えよう」の第2弾だ。

 小京都会議は、全国47箇所の加盟市町の集まりだ。日ごろは観光振興を目的に協力し合っていることと思うが、観光地ならではの防災の取り組みがあるだろうし、これらについても協力体制にあると思う。それぞれの地域に、「観光ボランティア」活動をする市民もたくさんいるだろう。小京都会議を通じて、これらの市民の連携を図ることもできるのではないか。

 9月4日の記事「防災の日特集-9月2日の中日新聞から」で中央日本交流・連携サミットについて紹介した。行政の広域連携も必要だが、市民レベルでの連携も必要と感じている。小京都会議に限らず、このようなつながりを利用すれば、市民レベルで防災意識を高めていくことは可能だと思う。

 広域連携は大切とわかっていても、防災だけのために新たなつながりを作るのは抵抗が大きい。なんらかの縁故関係や交流があるところへ防災を追加するほうが、うまくいくのではないか。ましてや市民不在の行政主導型では、活性化しないのではないか。

 小京都会議の類似パターンで、どんなつながり方ができるか考えてみた。たとえば、日本三大○○、○○御三家、○○四天王とか。

 Wikipediaで「名数」を検索すると、このようなつながりのテーマがたくさん掲載されている。いわゆる「日本三大○○」とかの事例集になっている。このようなつながりがそれぞれのテーマに防災のエッセンスを加えることで、あらゆる分野で防災を考えるようになり、取り組みやアイデア、着眼点も多様化してよいと思うのだが。これらが盛んになれば、何時でも何処でも誰でも何でも防災を考えるという防災文化が根付くのではないだろうか。

 「日本三大一覧」「日本四大一覧」「日本五大一覧」…、ほかにもたくさんある。八十八箇所霊場つながり、奥の細道つながり、忠臣蔵サミットなどもきっかけになるのでは。

 これらのつながり具合を、ソーシャルグラフのように地図上で可視化すれば、自分はどことつながりが強いのか、どこを支援したらよいのか、一目瞭然になると思うのだが。だれかGoogleアプリ作ってくれないかしらん。

 こんなことを考えたのは、3月中旬に東日本大震災の支援先をどうしようか検討していたとき、自分がその地域を支援するのはなぜかという根拠が必要だと考えさせられたからだ。今年の流行語大賞の候補ではないかと思える言葉「絆」を強烈に意識させられたのだ。

 災害救援や防災啓発の活動をする中で、いろいろな団体に所属し、そのうちの一部で代表を務め、他の団体と連携し…、さらに地元地域・家族・勤務先で…、いろいろな立場・状況で、支援をする理由・支援地を選択する根拠を問われ、関係者が納得できる説明をし理解を得なければならなかったからだ。

 何のしがらみもなければ、このようなことは考えなかったかもしれないが、いろいろなしがらみの中で生きている以上、やはり、避けて通れないと思う。これは、自分に限らず、みな多かれ少なかれ、似たような問題を抱えていると思う。

 日本のあらゆる人の集まりの中で、自分自身が、自分の地域が、どことどのようにつながっているかを意識して、好むと好まざるとにかかわらず、連携の中で生きていくことを考えていかねばならない時代なのかも知れない。

 いざというときの優先順位、大事にしたいヒト・モノ・コト…。いつも意識していれば初動は早い。常日頃から覚悟を決めておく必要がある。

 愛知県東海市は岩手県釜石市と「鉄の町つながり」がある。発災翌日の3月12日午前1時40分(発災10時間54分後)には支援物資を送るトラックを出発させている。

 市民レベルも可能だ。山形県尾花沢市鶴子地区連合区会は仙台市宮城野区福住町町内会と災害時相互協力協定を結んでおり、15日には支援物資を届けている。行政の介入はない。市民レベルの自主協定だ。

 次にすべきは、自分自身・自分の地域のつながり具合を把握し、強化していくこと。

西尾市立西野町小学校で東日本大震災現地支援活動の報告

 西尾市立西野町小学校で教職員向けの研修会があり、東日本大震災での現地復興支援活動の報告をしました。教頭先生のお招きで、私の活動事例を1時間ほどお話させていただきました。

 5月2~5日の気仙沼市小泉浜ボランティアセンターでの活動、6月24~26日の仙台市宮城野区福住町町内会での活動、8月5~10日の石巻市鮎川浜、・谷川浜での活動の3件について、それぞれの対象地域の被災状況や現地の皆さんの活動の特徴もおり混ぜながら、パワポの資料で説明しました。

 みなさん熱心に聴いていただき、子どもたちを守るという使命、避難所運営など地域との協働の大切さなどを考えていただく機会となりました。今後、西野町小校区自主防災会連絡協議会との連携活動をはじめ、地域全体でまちづくりを盛り上げていくきっかけになればと思います。

 報告内容の概略は以下のとおりです。

○気仙沼市小泉浜

 5月の連休にようやく現地活動をできる都合がついたので、インターネットの情報からここへ活動しに行くことを決めた。ボランティアセンターのセンター長が、以前、別の災害の現地活動で一緒になったことのある人だったので、「彼が頑張っているなら…」と応援に出かけた。

 避難所とボランティアセンターが一体となって活動していること、市や社協のボランティアセンターとは別運営をしていること、今後、大規模災害で災害ボランティアの数が足りなくて自主運営をしなければならないときの参考になること、小さな集落にボランティアがたくさん押し寄せるというイメージとその受け入れ覚悟など。

○仙台市宮城野区福住町町内会

 所属している飯田ボランティア協会の紹介で、災害ボランティアセンターを経由せず、直接、現地と調整した。被災しているにもかかわらず、近隣の町内会や市民活動センターと協同して支援活動をしていること、行政に頼らずに尾花沢市鶴子地区連合区会と協定を結んで相互支援をしていることなど。

○石巻市鮎川浜・谷川浜

 会社の社会貢献活動の一環として、業務扱いで出かけた。牡鹿半島湾岸の小さな浜がまだまだ支援不足なこと、小さな集落が多数点在していると支援側もたいへんなこと、ホヤ養殖の準備の遅れに対する漁業関係者のあせりなど。

○終了後のお話

 終了後に校長室で、地域での協働のお願いや学校での防災教育への要望などをお話しました。先生方にはここの部分を一番強調してお話したかったんですが、時間の制約もあり、現地活動の内容紹介に留まりました。
 終わった後の感想は、まず、時間が足りないということ。1時間での報告と終了後の校長室でのお話1時間では、伝えたいことをすべて話すのは限界があること。活動内容を説明するのが精一杯で、学校の防災教育で子どもたちにどんな指導をして欲しいか、地域の防災活動にどのように協力して欲しいかといった要望・お願いの部分をしっかり話せなかったのが残念でした。ちょっと欲張りすぎでしょうか?

仙台市宮城野区福住町町内会の夏まつり

 復興支援活動の合間に、仙台市宮城野区福住町町内会の夏まつりを見に行って来た。役員の皆さんとは1ヵ月半ぶりの再会を果たし、今後の支援の模索もして来た。

 6月に仙台市宮城野区福住町町内会の支援活動に行った際、「8月に町内会の夏まつりを開催するから、ぜひ遊びに来て下さい」とお誘いを受けていた。また、支援活動時にお世話になったお礼をかねて西尾市の地元限定抹茶入り飲料を送ったところ、FAXでまつりの次第まで送って下さって、再びのお誘いとなった。

 福住町は仙台駅からJR仙石線で13分、各駅停車で6個目の駅「福田町」から歩いて10分くらい。300世帯ほどの町で西尾市の町内会と比較すると大きめ。もっとも大都会の市街地の町内会と西尾市のような郊外の町内会とでは比較するのは無理があるが、いろいろな活動を比較する上で規模は参考になる。また、自主防災会活動は先進的で、勉強になる点がたくさんあり、今後とも交流を深めていきたいと考えている。

 一番びっくりしたのは、町内にある福住公園に露天商まで呼び込んで盛大にやっていること。公園全体をビアガーデン風のテーブル席やステージ前のゴザを敷いた座敷席でいっぱいにし、住民がゆっくり腰を落ち着けて交流できるようにしている。中央のステージでは、町内の有志がダンスや踊りを披露している。

006-01みんなでマル・マル・モリ・モリ
マル・マル・モリ・モリ…みんなに大人気。なんども繰り返して踊っていました。

006-02座敷席でゆったり
ステージ正面の座敷席は知り合いが演ずる出し物を見るのにうってつけ

006-03テーブル席で家族団らん
テーブル席で家族団らん

006-04テーブル席で町内の情報交換
町内の情報交換も

 正直なところ、「被災地でありながらよくぞここまで…」というのが第一印象、あまりのにぎやかさに唖然としてしまった。彼らにしてみれば、毎年やってきたことだから、通常の生活に戻ることが復興の第一歩であり、にぎやかに盛り上がることが、町民相互の支えあいの素という気持ちがあるのだろう。苦しいときにも、当たり前のイベントをこなしていけば、後から自信につながっていくのだろう。

 ステージでは、山形県尾花沢市から訪れた皆さんが「おばなざわ花笠まつり」の踊りを披露して交流を深めたりもしている。会場に到着したときには、花笠まつりの踊りが終わった後だったので、福住町にエールを送る笠廻しは見られなかった。ちょっと残念だった。

 尾花沢市の豪雪時に福住町が支援し、今回の仙台市の東日本大震災での被災に尾花沢市鶴子地区が支援したりと、「いざというときの支援と通常時の交流」が、効果的に実現されている。

006-05尾花沢のスイカ
地域ブランド「尾花沢スイカ」。お祝いメッセージを刻んで、尾花沢市鶴子地区連合区会から届けられた。尾花沢は日本一のスイカの名産地。

006-06支援提携締結式写真
福住町公民館に掲げられている支援協定締結式の写真

 町内会相互の支援協定や実際の相互支援・相互交流は、今後も勉強させていただこうと考えている。西尾市の場合は、福井県越前町と行政レベルで協定を結んでいるが、残念ながら実効性が薄い。西尾・朝日友好の会を通じて、福住町のような町内会レベルの相互支援協定を結べるようになったらよいと思う。

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